2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

妄想妄言(3)

公家は錐揉みに旋回しながら中空に上っていた。眼下には都庁舎のツインタワー型のビルがある。シャシャシャシャシャシャシャっ!…大気が切れた。 味噌汁の中に浮かぶ木綿ごし豆腐を箸先で摘まむと公家はそれをおちょぼ口に運んだ。昔は絹ごし豆腐のほうが好…

妄想妄言(2)

人間の生理、いや動物の本能…そういうことは、お公家さんには解らなかった。身体の機能、脳の構造やホルモンや、そのほかにもさまざまな化学変化等が作用して、ひとの感性や感情、思考や判断などもシステムとして活動をしているのであろうとは思うが、具体的…

妄想妄言(1)

公家は地面にうつ伏せになると、そのままズズズーと進んだ。それは地上を這うロケット並みのスピードだった。そんなに速いのに公家は、電柱も自動車もクキっクキっと曲がりくねって巧みにかわしていった。 「銀英伝」と略称で呼ばれることが多い「銀河英雄伝説」…

キングの斧(1)

「仮面城の秘密」というジュニア向けの小説がある。もう手元にはない。遠い昔のポプラ社の名探偵シリーズという中の1冊で著者は横溝正史。僕がおそらく12歳の終わり頃、1969年の夏頃に読んだものだ。このシリーズは、たしか全15巻で、そのうち8冊が江戸川…

公家物語(16)

公家の家は、さして広くなかった。しかし公家ひとりが暮らすには充分であり、むしろ余裕があった。とくに書斎ー、一般的にはそれを書斎というのだろうー書棚があり、椅子と机がある。机上にはパソコンがあり、パソコンの右側には辞書類や地図、それからその…

公家物語(15)

チェーン店のカフェは便利だと思う。店数が多く全国的ー全国ではなくとも、関東なり関西なりの一定以上の地域に店舗のあることが多いから、どの店に入ってもある程度の商品やシステムが似ているから、たいていのメニューやサービスで迷うことが少ない。 公家…

公家物語(14)

コンビニのブックコーナーを見て公家は「面白いものだ」と思った。歴史や占いや紀行、健康や栄養、経済学…それぞれ1~2冊ずつ置かれている。 圧倒的に多いのは漫画だが、それでも書籍そのものの占める範囲が店全体の一角にすぎないのだから、冊数じたいが2…

公家物語(13)

「バカめーッ!」「とんまめーッ!」「クソったれめーッ!」 公家はヘチマを思い切り床に叩きつけた。床がバンバン鳴った。 「貴様だ!貴様が悪い!貴様!貴様!貴様!ーッき・さ・ま、が悪いーッ!」 叩きつけたヘチマを公家は両手でねじりきった。「クソ!」「クソ!」…ぶっ…

公家物語(12)

公家は地球を掴むと、それを力一杯床に叩きつけた。どすんという音とともに、地球は粘土のようにいびつに歪んだ。それは、あんが飛び出て潰れた餃子のように見えた。そして公家は、靴底で思い切り、半潰れの餃子を踏みつけると、さらに力をこめて、ぐりぐり…

公家物語(11)

スマホを見ていた公家は、ラインのニュースを不服そうに眺めていた。放っておいても、勝手にニュースが送られてくる。それはいいとして、内容の多くが何故か軍事的なものが増えている。コロナ、温暖化、移民の問題やウクライナの状況などはまだいいとしよう…

公家物語(10)

公家は野菜ジュースを飲んでいた。今の世のほうが野菜の絶対的な種類はたぶん多いと思うが、知ってのように環境的には野菜不足になりがちだ。といはっても公家のいた時代が栄養バランス的に良かったかどうかは解らない。とくに上流階級の者は、栄養バランス…

公家物語(9)

とうぶん選挙はない。公家はそれでいいと思った。公家のいた社会には選挙はなかった。とうぜん庶民が直接政治に関わることはない。直接は関わらないが、全く政治と無関係だったのかと言えば、どうもよくは解らない。荘園がどんどん増えていき、武士という存…

公家物語(8)

…ああ、ウトウトしてしもうた… 公家は目をしょぼつかせながら思った。3メートルほど離れた所には女性が1人腰掛けている。50歳を少し越えているぐらいの顔はガサツだが体型は細身で全体にはシャープな感じの人だ。彼女は立ち上がると傍にあったナップサック…

公家物語(7)

公家が夢中になっているのは「トクサツガガガ」というドラマだ。こういう場合なにか仮名を使うほうがいいのか、公家にはよく解らない。これがドラマを真似た小説や漫画などを創作するのなら著作権とかが関係するかもしれない。だがここではそのドラマの感想を…

公家物語(6)

「ドひぇーッ!」 公家はテレビの画面をみながら叫んだ。誤解してはいけない。平安時代の人間がテレビという機械に驚いたわけではない。タイムスリップ的なSF小説やアニメでよくあるような、昔の人…たとえば江戸時代の侍や源平時代に滅亡した平家の落ち武者とか…

公家物語(5)

いつの時代でも事務仕事はつまらんな、公家は申請書に領収書を置き、その上から振り込み明細を乗せた紙にパンチ機で穴を開けながら思った。申請書には、申請者の氏名と金額と振り込んだ日付とが乱暴な字で書かれている。備考欄に支給金の内容が簡単に記して…

公家物語(4)

寒い…公家はヒーターに足を投げ出して思った。千年前の京の街のドッシリ寒気に比べるとこれでもまだ緩いほうとは思いながらも、しかし慣れは恐い。この時代の東(ひんがし)の都、東京に居ると、いつのまにかそこの気温や環境に慣れてしまう。気づいたらそれが…

公家物語(3)

公家なんかつまらん。いつの時代だって同じだ。千年の時を超えてこの時代にやって来たーなどという決まり文句も言いたくない。それは判っていて、この時代に来てしまった。この時代なら上手くいくだろうと思って来たわけではない。じゃあなんで来たんだと、…

公家物語(2)

公家が21世紀の現代に現れるなどという話は、いくらでもあるだろう。小説、ドラマや映画、漫画にアニメ、演劇…あとよく解らないが、おそらくゲームとかでも。今の世の中、何があっても驚かないし、ちっとも珍しいことではない。だからこの公家も平凡に東京…

公家物語

公家ほど非合理的で効率の悪い存在はない。だから公家の意味は、役に立たないことにあるのだと思う。 あの不必要に仰々しい衣裳。重く動きずらく着脱に時間を要する。儀式、作法、形式主義…そう、それはまるで「形式」が着物を着て歩いているようなものだ。 そ…

無駄の無いトクサツガガガ

トクサツガガガには無駄な場面が無い。では他のドラマには無駄があるのかと言われたら、正直わからない。 しかしトクサツガガガには無駄で無い。何をもって無駄というかは厳密には判らない。ただトクサツガガガには、病院や医師や看護師が全く現れない。必然…

第九条は日本文化として昇華した

憲法第9条は日本文化に昇華した。それはたんに法解釈や政治問題としてだけではなく、経済や社会はもとよりに染み込まれ、広く人々の生活や習慣、価値観、娯楽や芸術なども含めて、日本人の全体を包括的に染み込み、国民的な文化として定着した。 承知のよう…

日本人は日本文化の「いい加減さ」を誇れ

日本人が日本文化を誇りたいと思うなら、何よりもその「いい加減さ」を誇るべきだろう。日本文化は、いい加減で雑的で非論理的でサブカル的だ。それが強みだ。 日本文化は、他の諸外国や諸民族と比べて、その徹底さ、整理された洗練さ、論理性、正統派のマジョ…

叶はなぜ特撮好きが続くのか?

ドラマ「トクサツガガガ」の主人公・仲村叶が、なぜ大人になっても特撮を好きなのかわからなかった。 それを或る知人が納得がいく答えをくれた。その知人が言うには、それは叶が特撮番組の特徴である「愛と平和と友情」など、幼年期の子供が判りやすく、幼いなが…

自由は差別と略奪そして暴力を為さない

自由は差別を為さない。自由は略奪を認めない。自由は暴力を否定する。自由は裁かず、憎しみを復讐の手段とはしない。そして自由は、誰の幸福をも奪わず、自分の幸せを守る。 しかし自由は、前記に述べたような信念を、それを否定する思いや主張をすることー…

トクサツガガガとオタク文化

トクサツガガガを観るまでは、世の中に隠れオタクという人々がいることを知らなかった。オタクであることを職場や家族などに隠している人々のことらしい。なるほど…と、いちおう思った。よくは分からないが、趣味や好みが一般的にみて変わっているほうで、そ…

日本文化はオタク文化

オタク文化は日本だから生まれた文化だと思う。その特徴は(1)子供っぽい。(2)主要でなく副次的・脇役的なものが力をつけてきたもの。(3)本来はチャちくて粗雑なものから発生し、それが良質な完成されたものになる傾向。(4)サブカルなのだが、サブカルがメジ…

無思考な日本人が生き残る?

人間は考えることによって不幸になった。民族問題もコロナも温暖化もすべて人間の思考がもたらしたものだ。思考は権威と暴力のカモフラージュだ。何も考えないとき人は幸福だった。考えることによって人間は束縛しあい攻めあうようになった。無思考な民族は…

外国語教育は言語が優劣と無関係ではない

外国語教育と言えば英語だ。英語の使用が多く英語を知っていると便利なことが多いからだ。それは合理的な理由だから納得ができる。 しかし英語学習の重要性は否定しないとしても、語学教育、とくに公教育や義務教育などにおいては、その選択する言語において…

公教育で韓国語を

韓日関係の悪化の少なくとも日本側の理由は、日本の公教育で韓国語を学習しないことにあると思う。自分は韓国語が出来ない。自分ができないのに言うのはなんだが、それでも自分はそう思う。 韓国の教育が反日的であるというのは有名な話だ。その問題はべつに…