トクサツガガガとオタク文化

トクサツガガガを観るまでは、世の中に隠れオタクという人々がいることを知らなかった。オタクであることを職場や家族などに隠している人々のことらしい。なるほど…と、いちおう思った。よくは分からないが、趣味や好みが一般的にみて変わっているほうで、そして基本的には大人・成人で…まあそういう人たちを「オタク」と呼ぶとして。そういった認識が全くゼロではなかったとしても…ドラマというかたちで描かれたものを観たとき「え?そうなんだ!」と実質的には初めてそのイメージに触れた感じだった。
しかし同じオタクと言われる人々でも、少なくとも自分としてはアイドルやアニメに夢中な人のことをオタクという感覚はなかった。そういう話を聞いていなかったわけではない。全く聞かなかった知らなかったとは言わないが…正直「なんでそれがオタクなんだろう?」「それをオタクというのか…?」ーそんなふうに思うぐらいだった。
ただ特撮に関しては、やはり大人で特撮好きというと、それを「変わった人だな」と思わないと言ったら、それはたしかに嘘になるだろう。ただ、じゃあそれでどうなんだと言えば、実際にはべつにどうでもないわけで、それだけのことだと思う。
しかし、難しい話や理屈っぽいことは抜きにして考えてみれば、たしかに公言することでもないかもしれない。しかし公言することでも、まして吹聴することでもないかもしれないが…かといって、そんなにそれは大変なことなのだろうか…とか。いずれにしても考えることが多いドラマだ。
特撮に関して言えば、たぶん特撮も時代によって相当の変化をしていると思う。幼年期に仮面ライダーやゴレンジャーに触れた世代は、だいたい1960年代の後半あたりに生まれた人々、つまり現在50歳代の半ばぐらいだろうか…。1970年代の前半に「変身」を軸にした特撮ヒーローものがたくさん製作されたから、おそらくそれ以降に幼少期を過ごした人々は、特撮に対しての違和感や特別意識は少ないかもしれない。…とは言っても。ーという感覚、社会風潮がとてもよく分かった気がする。もちろんトクサツガガガはあくまで1本のドラマだ。それで全てが解るわけがないし、じっさいのことは1つひとつのケースで違う。でも殆どオタクとくに特撮を中心に、いってみればオタク文化とでも言われるものの概念とイメージが分かりやすい、オタク文化に関心を持つきっかけになった作品であることはたしかだ。