2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

白線の光(7)

叶は無欲だ。あんなふうに生きられるなら最も幸せだろう。成ろうと思い成れるかはまたべつだろうが。 叶にとって特撮は欲に含まれない。特撮は生存でその中でも生活に近い。叶にとっての特撮は趣味ではあるが、同時に生活だと思う。 生存に必要なことのうち…

白線の光(6)

すべての悪は承認欲求から始まる。 叶は承認欲求を持たない。まったくのゼロだ。叶だけが唯一の完璧な人間であり価値である。だから理想を言えばすべての人間が叶のようになればいいのだろう。ただ承知のように人間の個性というものは、それが相当に違うこと…

白線の光(5)

叶には、いわゆる承認欲求がない。 叶にも生存欲求はある。生きて、基本的に健康で、とりあえずの衣食住が賄えて、金持ちではないが「明日の暮らしも不安」ということはなくまあまあやっていける、家事が得意かどうかはわからないが少なくとも自炊中心の節約し…

白線の光(4)

叶は何故あんなに自分自身の特撮好きを卑下するのだろう。自虐的にさえ思えるときもある。 叶は、本当は、普通のいわゆる恋愛や結婚・家庭生活といったことに憧れをもち、それを欲しているのだろうか?そうでないとは言わない。言わないが、かといって、それ…

白線の光(3)

エマージェイソンからの記憶・愛・信頼というモラル的なことでの衝撃を受けた。同時にその他の特撮番組も含めて、ロボットや宇宙人・超能力、そして変身や変身ポーズなどの、さまざまな特撮のモチーフ的なものを惹かれていったのだろう。 モラル的・道徳的な…

白線の光(2)

叶は元気だ。元気は大事だ。たとえ、一時的に気落ちしたり、心配ごとや不安に襲われるようなことがあるとしても、叶は必ず元気になる。だからそれでいい。ヒーローは元気でなければ。叶が元気で特撮を愛するかぎり、彼女に連なる人々も元気でいられる。 これ…

白線の光(1)

叶(かの)は、叶だ。 どういう感じでヒーローを「かっこいい」と言ったとしても、「エマージェイソンも来る!」と胸躍らせた記憶がいつのものであったにせよ、それは叶だけが知っている。 僕は受像機を通してその向こうに映る映像を観ているにすぎない。だがそれ…

ねぇねぇ仲村(7)

私がね、仲村さん…そう仲村叶っていう人間に惚れ込んだ最大の理由は、あなたがオタクで、ほかの一般的な常識や社会生活がきちんとしているから。私にはオタクということは、正直、いまだにハッキリと解らないことが多いと思う。 でも言えるのは、たとえばオ…

ねぇねぇ仲村(6)

仲村さんが吉田さんにたいして遠慮、それから「置いて行かれた感」を感じたのは、吉田さんが写真の学校に通うことにしたということを聞いたときからですね。…わかる気がする。それまで仲村さんと吉田さんは「特撮」ということでつながっていた。それが吉田さんが…

ねぇねぇ仲村(5)

「やっぱり趣味が同じオトナの女性って憧れるんですかね」 任侠さんね。仲村さん「私も趣味の同じなオトナだけど」って、あったじゃん?…あれさ、吉田さんがトライガーが好きだから、じゃないかな。ダミアンが吉田さんを好きになった理由は。かりに仲村さんがい…

ねぇねぇ仲村(4)

ーー「欲しい!」ーー あれは可笑しかったなァ…悪いけど、今でもあの場面のあの独白を思い出すと、笑っちゃう。シシレオーのフィギア… 「欲しいんか?!」…って… そのあとすぐ思った。「あんなもんが?!」って。ごめん!欲しいよね、叶にとっては。…そうだよなァ で…

ねぇねぇ仲村(3)

仲村さんも、やっぱり色恋に興味あるんだ?~ふーん。意外ね。ま、いいけど。でもさ、あたし仲村さんだけは、そういうことに関心ない人だって思ってた。そりゃ勝手な私の思いだけど。でもやっぱ正直がっかりだなア。仲村さんだけは違うと思ってたんだけど。で…

ねぇねぇ仲村(2)

特撮の好きな女性、若いOL…そのことじたいに対しては、特別な違和感もなければ、かといって特に好意的に思ったわけでもありませんでした。なんらかの感覚に引きずられるようにして、ドラマを観ていき、いつの間にかその世界に入り込んでいったというのが、い…

ねぇねぇ仲村(1)

ねぇねぇ仲村…て、これチコちゃんみたいだけど、ーーまあ、じっさいチコちゃんの真似したつもりはないんだけれど、結果的にそうなるかな。でもいいか、同じNHKだし。 それはともかく…あの北代さんの回想シーンで、彼女が、あなたが言った台詞を「でも好きなこ…

行け!仲村!

タイトルの「行け!仲村!」は、ドラマ「トクサツガガガ」という番組の宣伝、NHKの番組コマーシャルの中で言われたナレーションの言葉を、自分が略したものだ。 「トクサツガガガ」のDVDは、4枚組だが、その4枚目の中に収録されているものだ。よくあるパターンだ…

流行に敏感な人々

僕自身は流行に鈍いほうだが、だからこそ逆に、いわゆる流行に敏感な人々というのはどのような人々なのだろうか?なぜ流行に敏感なのだろうか?ということに疑問や不思議さを感じ興味をもつようになってきた。自分が勝手に思ったことだから、それがどれだけ…

文明は堕落をめざす

文明=人類だとしたら、堕落は当然で「堕落」こそ人間の本義ではないかと思う。文明の難しいところや面倒なところは、「怠惰」や「快楽」「享楽」あるいは「だらしなさ」といったことを否定的に感じてしまう、そういう生理的か社会的かそれはともかく、どうも結果的に「…

気まぐれ

人生も世の中も、宇宙という存在じたいも、みな「気まぐれ」で生まれ、動き、感じ、死に、そしてもしかしたらまた生まれ変わり、延々と気まぐれによって存続していくのかもしれない。ひとは「自分が必要とされる存在でありたい」と望むものだと言われるが、それ…

大衆は存在しない

いつから大衆という言葉が生まれたか知らない。だが僕は本来は大衆などいないと思う。それはメディアが作った造語的なものだと思う。 学問的に誰がいつ大衆という言葉を使ったとしても、それは実態を持ってはものではない。 大衆は便利な言葉で表現なのだ。 …

企業と向き合う

いまの世界は、理念としての自由と人権、実態経済と人々の生活を動かしそれを左右するものとしての資本主義…これらが巨大なエネルギーとして動いている。 人権には暴力や差別を否定する概念はもとより、貧困や格差是正などを含めての広範な「みなが幸福になる…

文明が生まれてしまったから

文明が何かを説明はできないが、すくなくともそれが欲求を充たすために、いまもっている以上の力を持とうとすること、それを活用しようとすること、であることはいえるかと思う。 寒さとか雨風から身を守る。猛獣などから身を守る。飲み水や食糧を確実に手に…

政治は生活の公的化

政治が生活と関係していることは確かだが、それを感じにくいことも確かだ。たとえば基地の周辺の住民にとって日米安保は関心事かもしれないが、それ以外の人には無関心でもおかしくない。高齢者に年金や介護が重要でも若者にとってはまだ先のことだ。円やド…

愚物

愚物(ぐぶつ)とは人間のことで人類そのものだ。 愚物である理由はいくつかある。 愛されたいという欲求。 求められたい欲求。 自分が必要とされたいという欲求。 自分が役立っていると思いたい欲求。 良く評価をされたい欲求。 秀でていたい欲求。 勝ちたい…

ゆがめる

ゆがめることからすべては始まった。始原だ。ゆがんだ、でなく、ゆがんでいたのだ。最初から。 だから悪魔などいない。悪魔を想像して「悪」が生まれるなら判るが、悪魔によって悪が生まれたわけではない。 宇宙などもじっさいには存在しない。それは誰でもが…

個性は幻想

個性というものは無い。それは個性という観念を必要とする者が作り上げた幻想だ。人間は自分が生きやすいことを望むから、それの邪魔になるものは排除したくなるし、逆に自分に都合がいいことは肯定する。じつはそれだけのことなのだが、それだけだと格好が…

人類は生物ではない

人類は生物ではない。あえて言えば、妖怪だろう。 もともと生きものと言われるものは、生物と妖怪のことだ。最初の派生がどうであろうと、妖怪=人類は、他とは違う存在だったし、その後もずっと妖怪だ。だから生物とは交われないし、他の無生物といわれるも…

感情の悪

感情に善悪の区別はない。感情は悪でしかないからだ。キレイゴトは感情を美化することから生まれる。不思議なことに「悪」だからこそ、それを擁護しようとするところが人間にはある。人間はどうしても悪を認められないのだろう。だから人間は「悪」なのだ。 おそ…

少数者の流行化

人権の民主化とは、世の中の少数弱者の利益を社会的な価値として認めさせることである。つまり少数弱者の存在価値が認知されて市民権を得ること。そしてその少数弱者が生きやすい世の中になることを社会の多数派が肯定するようになること。それが人権の民主…

政治は生死を賭した娯楽

政治を語ることは社会をゲーム感覚でもてあそぶことだ。それは他人の生活と人生を、面白半分にいじくり楽しむことだ。民主主義とは、多数の人間が「きまじめ」なふりをしながら、ある者は露骨にエゴイズムをむき出しに、あるいはほかのある者は深刻に社会をよ…

流行と民主主義

民主主義とは、流行の政治権力化のことである。流行のジャンルや内容の良し悪しには関わりなく、流行っていることが巨大化し、さらにそれがあるていど以上の期間に渡って継続すると、政治的な力を持つようになる。 流行こそ最も多数の人々の要求や欲求の正直…