公家物語(14)

コンビニのブックコーナーを見て公家は「面白いものだ」と思った。歴史や占いや紀行、健康や栄養、経済学…それぞれ1~2冊ずつ置かれている。
圧倒的に多いのは漫画だが、それでも書籍そのものの占める範囲が店全体の一角にすぎないのだから、冊数じたいが20~30冊にしかすぎない。
「漫画の種類や内容もユニークになったものだな」。分厚い、雑誌タイプのマンガ本が並ぶタイトルを見ながら思った。ミステリー、サスペンス、ホラー、それらに混じって少女マンガらしいものがある。かと思う「ゴルゴ13」のような懐かしいものもある。
妙に感心しながら公家は、そこから離れてサンドイッチやチーズを包んだクレープ状の食べ物を見始めた。ふーふふん。公家はそんな鼻先笑いをさせながら、クレープを2種手に取った。
ふらり、ゆらり、棚から棚に視線を移しなから、さして大きくない店内の品々に公家は、ちらちら視線を浴びせかけながら静かにレジに向かって行った。客足がすこしずつ増えてくるように感じた。