無駄の無いトクサツガガガ

トクサツガガガには無駄な場面が無い。では他のドラマには無駄があるのかと言われたら、正直わからない。
しかしトクサツガガガには無駄で無い。何をもって無駄というかは厳密には判らない。ただトクサツガガガには、病院や医師や看護師が全く現れない。必然性がなかったからといえばそれまで。でもそれは物語をスッキリして見せてくれたように感じた。救急車のサイレンの場面もないし、ついでに言えば消防車が走る場面もない。劇中のコントとして警官が出る1コマがあるが、それは限定したものと割り切られ、それ以外では交番も警察署もパトカーも出ない。
主人公たちが話している時にセールスが来て話の腰を折られるようなシーンもなければ、職場に必然性があるとも思えないのに社員がお決まりで電話の応対をしている場面もない。
上司に呼び出される場面もなければ、そもそも「課長」とか「重役」とかの役職名そのものが現れない。
その主人公を軸にテーマやストーリーや人間関係などで、直接に必要以上のこと、たとえばタクシーを降りる場面、夜の繁華街での酔っぱらい、とくに意味もなく喫茶店で珈琲を飲んでいる場面…記せばキリがないが、たんなる装飾的な風景や日常のことを映すところが皆無かそれに近いほど少ない。
電車の中、レストラン、職場、スマホでの会話…それらの場面はあるが、しかしそれはすべて、物語の展開に直接に必要なことだけだ。
こんなにエッセンスだけを絞り込み集約したドラマは初めてだ。こういうところにも自分は、なお一層この物語に魅力を感じてしまう。