白線の光(4)

叶は何故あんなに自分自身の特撮好きを卑下するのだろう。自虐的にさえ思えるときもある。
叶は、本当は、普通のいわゆる恋愛や結婚・家庭生活といったことに憧れをもち、それを欲しているのだろうか?そうでないとは言わない。言わないが、かといって、それほどそれを強く求めているようには思えないし、ましてそこに執着しているふうには感じられない。
彼女がオシャレやファッションなどに全く興味を持っていない、とは言わない。叶は叶なりに、異性との付き合いや恋愛などを考えることもあるかもしれないし、そういうことが彼女に全くない、というわけではないかもしれない。いや、あっても、むしろしぜんなことだろう。ーーただ、それでも僕には、叶はやはり、基本的には特撮のことが最優先で、まず特撮ありき、なのだという感じがする。それはそれで、普通に女性が求めることも、無いわけではないしそれなりにあるが、しかしそれは「それもあってもいい」「べつにそれを否定はしないが」「それはそれで、いいものなのだろうが」ーーといった程度の感覚ではないだろうか。
だが、今度はそれにしても「いい歳して」「恥ずかしい」「自分でもバカみたい」等々、あまりにも、叶が彼女自身に対して特撮好き・特撮オタクであることを否定している言葉が多い。
そういった全体像を含めて僕自身は叶という人を魅力的だと感じるが、それとはまたべつに、叶の複雑な心境に関しては不思議さと興味を抱かざるを得ない。僕は、僕自身、そこに何か奇妙なものを感じざるを得ない。