日本の戦争の原因

戦前の日中戦争や太平洋戦争など日本がした戦争の根本の理由は、僕は次の二つの原因によるものだと思う。

1つは、「善意の押し付け」である。日本人で、日本のあの戦争を肯定する人は、たいていが「日本は…のことをしてやったのに」という「上から目線」の人々に多い考えだと思う。

侵略、支配、植民地ということを「病院や学校を作ってやった」「ダムを造り電気が使えるようにした」、あるいは「治安を良くした」「政治を安定させた」「欧米の支配からアジアを解放した」…そういった一方的な押し付けや思い込みが多い。ーーそれは本当に相手が求めたものであったのか?かりにそうであったとしても、その方法や内容はどうであったのか?ーーそういった配慮も考察もなく、ただ一方的に「相手のためにしてやったのに」という傲慢さがある。

二つ目の戦争の原因としては、日本人の「寛容の精神の押し付け」があると思う。

本当はどうか判らないが、よく「日本人は過去のことは水に流して、くどくど言わない」とか「日本は、おおらかで、細かいことを気にしない」とか、そういったことを聞く気がする。それが事実かどうかは判らない。またそれが事実だとしても、それは日本人だけに特有なものかどうか判らない。ただ、わりと一般的に多くの日本人が、そのように思っているのかもしれない、ということは言えるかもしれない。

ただ問題は、それが「日本はこんなに寛容に、おまえたちのことを許容してきた」「しかしおまえたちは日本のことを理解しようとしない」、ーーこのように考える日本人が多かったように感じる。日本人が他の民族や国民と比べて、本当に「寛容」で「おおらか」であるかどうかは、僕には判らない。だがそれよりも、もっと重要なのは、「寛容」や「おおらかさ」を押し付けることは、それはすでに寛容でも「おおらか」でもない。日本人はそこで間違えていた。

以上のように、「一方的な善意の押し付け」、そして「寛容の押し付け」、ーーこの二つの押し付けによって、日本は戦争をしたのだと思う。いずれも本当に相手のことを考え、相手の気持ちを考え知ろうとする誠実さに欠けていたことから生じた、思い込みと傲慢からくるものであった。

そういう「上から目線」の思考と態度が、けっきょくは日本が戦争に進んでいった根本の理由だったと、僕は思っている。