未熟は悪くない

人間は、つねに未熟で、そして、つねに成熟する。

たしかに年齢や、その時々の時代や時期や状況も無視できない。

しかし基本的に人間は、生涯を通して、ずっと成熟をしていくのだと思う。人間は、完全でない。だから、つねに成熟する。成熟は終着点ではない。

たしかに年齢で幼少期や思春期という独自の時期や期間はある。それが人の生涯の中で、ほかの時期とは違う特別なものがあることは事実だ。肉体的、生理的に、特別な時期だ。

しかし、人間の成熟は、決して「生育期・成長期」とそれ以降の「おとな」の期間にきっちりと分けられるわけではない。

人間は、生きているかぎり成熟し続ける。

職業や社会的な立場、恋愛や結婚や家庭生活、趣味や嗜好、さまざまの人間関係…人は、ことあるたびに、つねに何かの新しい発見や出逢い「気付き」、「そうか、これだったのか?」とか「こういうことが大切なのだ」というように、絶えず何かあるごとに、新しい経験を積み重ねている。

仕事の成功や失敗だけで終わりではない。学校の卒業だけが学びの終了でない。

たとえば仮に、何十年も連れ添った或る夫婦が老齢になって離婚し、その後にその同じカップルが復縁したとする。「じゃあ、なんで結婚したんだ?」「わざわざ離婚しなくてもよかったじゃないか?」ーーそう思うのも無理はないがーーでも、ちがう。無駄や遠廻りと思われることがあって、本当に必要なことや大切なものが判る場合もあるのだ。

人間は生きているかぎり成熟し続ける。成熟を続けるのが人生だ。