男は人間か?

男は生物としては、生殖のほかは本来は必要ない存在だった。

しかし人間は他の生き物たちに比べて、比較的に弱い存在だったと思う。もちろん厳しい自然気候などに耐えることも必要だったろう。

弱い人間が自然に対抗するために発達したのが、広い意味での「技術」だったと思う。

この場合の技術は、道具や武器や建築技術などといった、普通にいう文字通りの「技術」がもちろんあったろう。

直接には目に見えないかもしれないが、言語やコミュニケーションの発達と、さらにそれを文字として残せる記録としての「技術」もあっただろう。そのことは思考や論理の発達といった、いわゆる知的なことでの「技術」だったという言い方もできるだろう。

そういうさまざまな技術の開発には、腕力的に優っていた男が、中心的な役割をしたのではないだろうか。ーーこういった状況が、結果的には、男が技術の開発・使用・応用などーーいろいろな意味での技術の利用の中心的な存在になったという想像はできる。

それが集団という社会のさまざまな仕組みーー「社会の仕組み」という「技術」になったのではないか。組織や制度といったものだ。つまり、法や政治、商品や貨幣など経済的なもの、それに軍隊。

男が社会を創り、男がその社会を支配した。そのなかで男は、さらに社会の支配的な立場になろうとして、男のあいだで競い合い争い合った。ーーそこに生まれた感情が、強烈な自己承認欲求であり、その具体的なものが権力や軍事力、権威や名誉、競争と闘争、ようは優越感を持ちたいがための行動につながった。

権力闘争や、必要以上の利益の追求や、女から見れば「なぜ、そこまでして?」という「優越感に浸る」「みなからチヤホヤされたい」といった子供っぽさにも通じるような欲求ーーそして、暴力や戦争。

男のすることは、資源やエネルギーの浪費であり、ストレスの蓄積である。世の中の根本の問題は、男と男が作った社会にある。暴力、差別、抑圧、嫉妬、権力志向…男が作った文明は利便性を伴いながらも、そこから生まれる弊害。

男はその存在そのものまで消滅することはないとしても、少なくとも社会の中心的な役割からは外れていくだろう。それがまた世の中を破滅させないためにも必要なことなのだ。