全面戦争を狙う

プーチン大統領は、次々と信頼性を失う行動をしている。ふつうに考えれば国際世論の評判を悪くすることを。
素直に考えれば、あえて評判を落としたいのだと判断できる。
評判を悪くすると何が得になるだろうか。断言は難しいが、今いちばん思えることは、西側諸国とくにそのリーダーであるアメリカが、我慢の限界になることだろう。それはアメリカ指導のもとでのNATOによるロシアに対する宣戦布告だ。それもNATO側から先に手を出させる。核兵器のことはひとまずおくとして、NATO軍が圧倒的に軍事力で勝ることは確かだ。ロシアは、壊滅的な打撃を受けるだろう。それがプーチンの狙いだ。
老朽化したロシア軍など、プーチンにとってお荷物なだけだ。NATO軍に破壊してもらうのが、手っ取り早い処理であり、軍の事実上の粛清で粛軍となる。ロシア正規軍を壊滅させたNATO軍は、その成り行き上、勝ちいくさの勢いでロシア本土内に突き進むだろう。しかもウクライナ解放と、それにとどまらず、悪の帝国ロシアとプーチンを倒すという名分を果たさねばならない。
ロシアはそのとき、正規軍とはべつにロシア国民がすすんでパルチザンのような軍を結成して戦うことになるだろう。NATO軍という侵略者に対する「自衛」のために。逆転現象が起きる。
ロシア国民にとって「祖国防衛戦争」が始まる。そういうときのロシアは強い。ロシアは決定的な勝利は得られないだろうが、しかしNATO軍を相当に苦しめることにはなるだろう。
プーチンの狙いはそれだ。しかもそれは、最初の理由やきっかけがどうであろうと、結果的に、かたちとしては、ロシアの自衛戦争になる。国際世論のみかたや捉え方も変わる。
プーチンの挑発にのらないことだ。