安全保障という欺瞞

ロシアは大変なことをしてくれた。時代遅れの帝国主義のような真似ごとをした。これでまた世界は、安全保障という名の軍事力を中心にした政策や外交になっていく。タカ派トランプ大統領が敗れ、それじたいは問題であるがコロナのことで世界的にはみなが協力して問題に取り組んでいこうと、その矢先にこの戦争だ。
世界は再び力の国際社会に拍車がかけられた。
軍事力と軍事同盟ーーまあ、この両方を含めて広い意味で「軍事力」というのだろうが…とにかく「抑止力」「自衛」「制裁」「報復」…平和や安全を守るためには武力が不可欠で、武力なしの平和などキレイゴトの幻想にすぎない。その論調とムードが支配しようとしている。この世論や空気は相当に強いもので、日本も例外ではない。昨今の状況からして、おそらく日本も結局は実質的に軍拡の方向に進むのだろう。日米同盟も、より強固になっていく。
そういう状態において日本がすこしでも、せめて決定的に悪い状態、戦争や軍の暴走、必要以上に紛争に巻き込まれない、それでいながらみなが納得をするような国際貢献・協力などもして、バランスのとれた国家方針をとれて、国際社会のなかで生き残っていくためには、自衛隊を政府から分離して、自衛隊の総司令官を天皇にすることが必要だと思う。
基本的に自衛隊の費用・予算は日本の国会と政府が決める。自衛官の教育育成も政府の方針と責任でおこなう。
しかし自衛隊の作戦や行動、戦闘の開始や中止、終了などに関してはその最終決定権を天皇が持つ。そうするのは、自衛官、軍人とは呼ばずとも事実的に軍人とよべる自衛官は、自己の生命をかけて行動する理由がなければ、その命令者に忠誠をつくすことはできない。
自分のことばかり考えている政府や首相に本気で従う気持ちにはなれない。それに首相や大臣など選挙と政治状況で、ころころ替わる。国民のためといっても、国民は都合のいい時だけ自衛隊を頼り、同時に憲法違反だの軍国主義復活反対だのと、なにかといって批判・迫害の対象にする。ならば改憲かといえば、改憲して自衛隊を正規軍にすることは躊躇があるし、じっさい現行の第九条は理念的には判るし、じっさい運用をバランスよくすれば良い機能をする。
ところがロシアのせいで、また軍事力に頼る風潮が盛り上がる。
自衛隊天皇に任せるのがいちばんだ。天皇という世襲の存在が最高司令官であることで、自衛官は自己の存在に自信をもつことができる。天皇の命令は絶対で、自衛官天皇のみに従う。自衛隊を「天皇の国家」にする。天皇は、ある意味で自衛隊という実力組織の事実上の「元首」であり、一方では国民の「象徴」となる。
天皇自衛隊の統帥者となることで、現行憲法自衛隊・日米同盟及び平和や安全保障の課題は、かなり問題解決の方向に進めるのではないかと思う。