戦争は排他主義を生む

民族間の確執や争いが戦争の原因、少なくとも戦争の原因になる場合があると思われている。それは否定はできないとしても、あまりそれを強調し過ぎるのも疑問を感じる。
例えばいまおこなわれているウクライナ=ロシアの戦争は、その原因をいろいろ言われるが、そこに民族的な確執や歴史的なこと、クリミア併合のことはもとより、ウクライナ内の民族問題などがメディアで報道もされるが、そしてそういった諸問題の積み重なりが軍事や外交や経済などを含めて、結果的に戦争というかたちになり、その戦争は現在も続いている。
異なる民族間の問題が戦争となんらかの関係があるであろうことはたしかだろう。つねに異なる民族や文化の交流や関わりが大切であることはいうまでもない。しかし、かといって、民族間の確執や摩擦が、そのまま紛争・戦争につながると考えるのは、飛躍ではないだろうか。
漠然としたイメージで申し訳ないが、自分は、むしろ戦争によって民族間の摩擦や差別・迫害、そして暴力的な民族紛争も発生するように思える。じっさい歴史上、多くの場合、戦争が始まると、それまで問題を抱えながらも共存していた異なる民族が、突然のように憎み合い争うようになるということは、残念ながら「当然」のように繰り返されている気がする。それまで仲良くしていた人々が「敵国人」「敵国の民族」ということから、自国内に居住する人々に対して、まるで手のひらを返すように、自国内の「敵国国民」「敵性民族」などとレッテル貼りをし、排除・暴言・不利益・孤立化・デマ流言・嫌がらせ、さらに公然とした暴力や破壊に至るまでー、それらは昔から国を問わずに見られたことだ。
戦争は民族のを激化させる。むしろ戦争によって、民族・人種・言語・宗教・文化などの争いが激しくなるのだと思う。