戦争放棄

戦争放棄は、二十世紀から21世紀の現在までを含めて、人類最大の課題であり価値である。それは故意に人為的に権力を持った組織による殺傷と破壊をしないこと、させないことだからだ。これまでの歴史は、なんらかの理由で戦争が肯定されてきた。たしかに無条件の戦争肯定や戦争の称賛は少なかったかもしれない。そういう時代や状態のときもあった。とくに近代以降は現代に至るまで、例外なく交戦国は、戦意高揚の宣伝と自国の正当性を訴える。これは国家・軍隊・戦闘というものがもつ宿命的・必然的なものなのだと思う。そして大量の集団的な殺し合いと破壊がおこなわれる。そして大勢の人々の生命(いのち)が失われ、生活が破壊される。あとには悲しみと憎しみが残る。戦争とは幸福を奪う行為である。それは負(ふ)の連鎖と拡大であり、悪魔の行為そのものだ。
戦争を制限する国際関係や取り決めということはある。戦争に関係する決まりを定める国際法といわれるものも存在する。戦争の目的も、独立や民族自決権、人権、といった現代世界において、それなりに道理が通るような名目をつけて戦争がおこなわれることも多くなる。いまから約20年ぐらい前の21世紀が始まって間もない頃には、「大量破壊兵器の製造や所持の疑い」といった理由でおこなわれた戦争もあった。戦争の理由や名目、目的などは多様になった。露骨な侵略戦争は今から1世紀近くも前に事実上は禁止されたはずだが、それでもさまざまな名目で戦争は起きている。
無条件で戦争は悪であるという認識をもつ必要がある。いかなる理由も名目も関係なく、ただ戦争そのものを「悪」として認識すること。それがいちばん大切なのだ。そして、それを戦争放棄というのだと思う。
まず戦争をしないこと。それでも現におこなわれている戦争は、すぐさま停戦し、戦闘状態を停止すること。それが戦争放棄である。戦争放棄の実現こそ、いま世界が最も早急にするべきことである。