競争

競争のすべてが悪いとは言わない。
ただ、社会における競争ーー戦争、政治、経済ーーこの三つは、害が多い。戦争が戦いで殺し合いと破壊であることは今さら言うまでもない。これは、簡単になくならないが、できればなくす方向にしたいとは多くの人々が思っていることだろう。
政治も基本的にはないほうがいいのだと思う。どうしても必要な決定とか、実務的なことなどはあるだろう。しかし、できるだけいま為されている政治的なことは、簡略できることはして、必要最小限にしたほうがいい。政治はすぐに権力争いになる。本来は有害無益なものだ。政治に関わる者たちは、それをさまざまな理由をつけて正当化しようとするが、しょせん権力争いは権力争いにしかすぎない。権力ぬきで政治が為されて本当だと思う。権力のない政治で、したがって政治家になって何ひとつ得にならない、そうなって初めて政治は本当に機能する。だれも政治家になりたがらない政治、それがいちばんいい政治だ。
経済は、これは本来は競争ではないと思う。さまざまな産業によって、売り買いがおこなわれ、生活に必要なものが潤うようになれば、それでいいわけだ。本来はそれでしぜんと生活や社会が回っていく。時代劇の悪徳商人のような者もいるだろうが、共同体的な社会であれば、そういう非常識にひどい業者は自然淘汰されていく。商売上の過剰な競争は、それがあっても、しぜんと相手にされず、主流のものではなくなる。発明や新製品の開発は、むりな競争によってではなくて、より良い商品を作りたいという欲求から生まれることで充分だと思う。
戦争、政治、経済、これらは競争そのもので勝ち負けのために為されるという現実だが、競争がなくなれば、すくなくとも競争が中心的なものでなくなれば、ずっと変わる。競争そのものの戦争はなくなる。政治は必要な機能だけを残して、権力からは無縁になる。経済は、本当に必要なことのために活動をするようになる。
競争は、スポーツやゲームなどを除いて基本的には不要になるだろう。そういう世の中が望ましい。