戦争してる場合でない

戦争をする国は、よほど暇か、忙し過ぎて頭がへんになっているか…たいていそのどちらかだと思う。
ふつうに考えれば、人は日常を過ごすのに精一杯で、たいていはそれ以上の余裕はない。忙しくて大変なことは、ふつう時間が足りないことだ。次に体力的な疲労、もしくは金銭的なこと。そして最後に人間関係の難しさとそれにも大きく関連して精神的な問題。
要するに、いろいろな意味でよほど暇を持て余しているか、それとも多忙すぎて頭がおかしくなるか…その両極端などちらかでなければ、ーー戦争などという割に合わないことは出来ないのだ。それが昔であれば、近代以前の君主の気まぐれが起こす戦争もあったかもしれない。また帝国主義時代では、侵略・支配が資本主義の拡大と大きく関連していたから、その良し悪しはべつにして理由はあった。
しかし第二次世界大戦後で冷戦も終了した現在は、明確な戦争の理由は見あたらない。それならあとは考えられるのはなにか?可能性がそれなりにありそうなのは、やはり退屈と孤独感ではないか。だいたいはこのうちのどちらか、もしくはその両方ではないかと思う。それにプライドや依存体質などが加味されたりしてさらに複雑化する場合もあるだろう。
それが権力を持っている人間だと戦争という行為やその指示などが可能になる。現代の戦争のほとんどの原因や理由はそのあたりにあると思う。そうなると、これからはすくなくとも国家レベルを動かすことのできる指導者に対しては、相当なケアが必要になるのだろう。時間的な余裕や余暇を充分にとれるようにスケジュールを組み、ストレス解消の方法を充分に配慮する。
たしかに政治家(政治家だけに限らないかもしれないが)とくに首相や大統領クラスの役職の場合、それを本人が求めて成ったものだとはしても、現実に当人の心身を著しく損ねるのであればそこは対策を考えねばならない。そしてそれは実際の政治判断に大きく影響するのだから、国民のためはもちろん、それが対外的なことに影響すると、それこそ戦争という最悪の取り返しのつかない事態になるからだ。
一方で、「暇がありすぎる」場合、「時間を持て余している」場合は、逆に適切で必要な業務を提出することだろう。1国の首脳レベルでそのような人物は、たいていは独裁者かもしくは超大金持ちの国で、しかも国家とそれを支配する個人や一族などが国の財政を私有化しているようなケースだ。前近代的な家産制国家だが、21世紀の現代でもそれはある。この場合は、国際社会による交渉で、ヒマを持て余していてしかもそれで精神的不安定が強く戦争その他の甚だしく危険が大きいと判断された首脳・元首などに、一定の手続きをとって「公務をふやす」ようにすることだろう。
つまりこれからの主要な政治的なリーダーは、ーーこれは皮肉ではなく、また極端に揶揄(やゆ)するような戯画(ぎが)化でもまったくなくてーー国際機構等においての「各国主要リーダーに対する一定のケア管理システム」が必要なる。とくに軍事大国においては、それはその国のことだけでなく、他国や国際社会への多大な影響になる。とくに戦争は最も避けねばならない。
これからは国家指導者、とくに大国のリーダーに対する国際管理システムが必要になる。