日本人に思想はいらない

日本人に思想は要らない。日本人の個人はべつだが、総体としての日本人には思想は必要ない。そして思想を持つこともできないかもしれない。
思想は、必要があって身につく。意識するしないに関わらずに、必然的に思想と自分自身とが、いっしょになっている。そうでないならば、それは思想とは言えない。思想を持っていたいだけのことだ。
社会や経済や民族や歴史や、そのほか何か、どうしてもやむを得ない状況や現実があって、それで思想というものが必要になるのだ。そうでない「思想」あるいは思想だと思っているものは、せいぜいファッションでしかなく、しかも多くの場合はファッションでさえもない。