ロシアの地位などにこだわるな

国際社会でロシアを国連の常任理事国から解任しようという動きがあると聞く。主旨は解るしべつに反対はしないが、ただ自分としてはそこに強く固執する必要はないと思う。
常任理事国などというものは、5大国の権威と、大戦後の世界を「良識」ある指導によって世界秩序を保とうとした構想の名残にしか過ぎない。
その一定の役割を否定はしないが、なくてもかまわない。ただロシアが既得権を放棄するとは思いづらい。それにこだわってロシアを今以上に刺激して何がいいことがあるだろうか。ロシアの権限を弱めてそれによって戦争を優位にもっていこうということかもしれないが、そもそも余程のことがなければ当のロシアが権限を手放すまいと頑強に抵抗したら、それじたいが戦争をさらに長期化させることになるだろう。戦争による被害はますます大きくなり、とくにウクライナの犠牲はさらに増大する。それでは本末転倒だ。
拒否権の弊害が問われてきたのは今に始まったことではない。その問題は後で考えればいいことだ。
いまは常任理事国や拒否権のことは、諦めたほうがいい。その弊害の隙間から国際社会は、少しでも世界の平和を守り、国家を越えた人道的な活動と、人類から貧困と抑圧をなくす努力をしてきた。ウクライナ=ロシアの戦争のことに対しても、現在できることを可能なかぎり追求していくべきだろう。
いま世界のリーダーたちが、そして全世界の市民が目を向けることは、1日も早い停戦、戦闘行為の中断・停止であり、平和の回復である。
とくに各国のリーダーたちは、国連の制度をいじろうとするより、いまある機構の中で可能性を追求していくことが大事だ。それはまず何よりも停戦を最優先の目的に定めて行動して、同時に、一方では人道的支援を徹底することだ。いまできる救済行為をすること。ーこれに徹してほしい。