集団の付き合い方

集団は強い。必要とされるからだ。そして集団に関わらねば個人は生きられない。何かに寄り添うことで個人は成り立つからだ。

人間は利己的な者も利他的なものもいる。だがそれは関わりの在り方であり、精神的なことや観念の問題ではない。

ひとは生きやすいように生きるのがいちばんいい。行動や判断の迷いや不安や不満はあっても、けっきょくは自分が求めることをすればそれでいいのだ。それらの結果が、他人を救うことになればそれを利他的と言い、自分の得が目立つときは利己的と言うだけのことだ。

集団の中で利他的は、わりあいに珍しくない。仲間や職場や家族などの共同体とか組織とか、自分の周囲そして自分の所属する集団を大事にするのは当然で必要なことだ。

しかし帰属感覚のとくに強い民族や宗教や国家などに利他的な行為をするとき、それが集団のことだけに関わっている場合はいいが、自分の所属する集団が、他の集団と対立したり争いになったときは危険性も多い。自己集団への愛・奉仕・貢献そして自己犠牲などが、敵対する集団に対しては、攻撃性や排他的な行為に容易に転換する。そしてまた承認欲求は集団に役立ちたいという願望に結びつく。

民族や宗教そして国家などに対しての利他的な行為は、それが他集団に対しての争いに結びつくと、たちまち排他的な攻撃性を生む。

利他的な行為は集団以外に向け、集団に対しては利己的なほうがよい。