人間はいつの時代も「死」のことを考えてきた。だが本当は「生きる」ことを考えてきたのだ。生きているあいだは死なない。だから死がどうのこうのではない。それは「生きることをやめる」ことに対する恐怖や不安やこだわりなのだ。生きていればいいだけのことだ。生きなくなったら、それを結果的に、「死」と呼んでいるだけのことだろう。恐れているのは、あるいは苦しいのは、阻害や孤独であったり、生活が立ち居かなくなったり、病気や健康上のことだったり、人間関係がこじれたり、暴力だったり、差別だったりと、それらはみな生きていることのなかでおきることだ。
死はとくに考える必要はない。生きることだけ考えればいい。