自民党と革新勢力

日本の政治は、自民党と革新勢力との確執によって成立している。
自民党の信条・政策・組織・支持基盤など、その性質は、それなりに柔軟性をもつ保守政党である。
自民党は、一時的な例外を除いて、ほぼ六十年間に及んで政権与党としての地位を保ち続けている。
自民党は、理想主義の政党ではない。現実の改革を否定はしないが、総体的に実現可能なそうな政治をおこなう。それに対して、基本的に理想主義的な改革を求める革新勢力は、自民党政治に反対をするが、しかし政権を担うだけの力をもたない。しかし理想主義ということは、基本的には「本来そうあるべき姿」「それができるのであれば、そうしたい」ということだ。だが、理想のようにすることは、ひじょうに困難である。負担が大きい。並大抵の努力ではできない。相当な覚悟と責任が必要だ。だから多数派になることは、不可能ではないとしても、大変に難しい。ゆえに、自民党保守主義と理想主義の革新勢力とが、ぶつかり合うことによって、結果的に自民党の政治は、ある一定の譲歩をせざるを得ない。自民党政治は、ある程度の、場合によっては相当に「保守的でありながらも、それなりに理想主義も受け容れていく」という状態になっていく。
自民党がなければ、革新勢力は、その理想主義を、少しでも実現させていくことができない。
革新勢力がなければ、自民党の政治は、保守化が無制限に進み、それは、硬直化して、腐敗していく。それでは結局は、人々の支持を失い、結果的に政権を維持できなくなるであろう。
自民党政治、つまり日本の政治とは、基本的に保守的な自民党政権が、革新勢力の理想主義をある程度受容していきながら、結果的には、それなりに、進歩と改革をなしていく政治である。ーー自民党政権のなかに革新勢力の主張を反映させて、結果的に、強大な自民党が実質的に革新勢力の政策を、現実性の範囲内で実現させていく。
日本政治は、進歩的保守政治である。