戦争の本質を見る

ロシア軍は戦争犯罪をおこなっていると報道される。ロシア軍の国際法違反がいけないことは言うまでもない。
しかし戦争とは、国際法違反をするものだ。国際法を守るべきだが、戦争になって国際法の遵守はできない。国際法を破るのが戦争なのだ。
民間人や民間施設への攻撃をするのが戦争である。それを違法と言おうが、戦争犯罪と糾弾しようが、それをするのが戦争である。戦争という巨大な力は、残念ながら法も正義も超える。
戦争になったら、それは民間人も被害を受けるし、残虐行為もおこなわれるのだ。それを止めることはできない。どんなことをしても戦争による被害を防ぐことはできない。それほど戦争というのは、凶暴で膨大なエネルギーなのだ。
戦争は、恐怖と憎悪を生む。戦争によって敵がつくられ、敵が生まれることによって恐怖と憎悪が生まれる。これを戦争パニック状態という。戦争パニック状態は、人々の攻撃性と破壊性を増大させる。そのひとつが民間人に対する攻撃や国際法違反の戦争犯罪だ。ゆえに戦争犯罪は必ず起こる。必ず民間人の被害が生まれ、それも意図的な虐殺や略奪も為される。捕虜に対する虐待も起こる。
だから戦争をしてはいけないし、不幸にして起きてしまった戦争はすぐに、やめなければならない。戦争になれば国際法違反など日常的に起きることである。むしろ国際法がきちんと守られるほうが、少ない。個別な戦闘でも少ないし、ましてそれが市街地などの民間人と軍人、民家や民間施設と軍隊とが混在しているような状況ーーそれで国際法が遵守されるなど稀なケースと言って、言い過ぎではあるまい。まして、戦いが始まってから講和まで、その戦争全体で完全に国際法が遵守されることなどは、稀などころか、奇跡といえる。ーー戦争になったら、国際法違反は当然、そう認識するのが常識である。ゆえに、ロシア軍の国際法違反を異常なことのように伝え、それによってロシアを特別に暴虐な国であるかのように報道するのは、政治的なプロパガンダであり、公正であるべきメディア報道の在り方ではない。
ロシアやロシア軍やプーチン大統領のことを批判的に報道をするのはいい。いや、批判すべきである。ただしそれは国際法違反を理由にしてではない。国際法違反を指摘するのはいいとしても、国際法違反をもってしてそれでロシア軍が特別に悪いもののように扱うことは間違っている。ーーそのようなメディア報道は、戦争肯定を意味する。
国際法遵守の戦争など、ありえない。戦争は必ず国際法を破る。戦争になれば国際法違反は必然だ。だから戦争をしてはいけない。メディア報道は、ロシア批判やプーチン批判をするとともに、戦争そのものに対する批判を忘れてはいけない。戦争を否定し非戦を訴えよ。即時停戦を訴えよ!