国家より人命

日本国憲法第九条は、国民個人の生命を守ることを最重視したのだと思う。そのほかの、たとえば国の独立や誇りや経済や、そういった利害や価値よりも、まず「いのち」を守ることを優先したのだ。
だから、たとえ自衛のためであっても、戦争や武力行使を放棄した。少しでも戦闘によって国民の生命が失われることは避けたい。それは「いま目の前にある確実な殺傷」を避けるということだ。侵略してくる国が日本にどんなにひどいことをするかもしれないが、それでも武力によって闘うとか抵抗とかはしない、それが第九条の理念だと思う。
第九条は、合理性や利害の価値観をこえた、人道の象徴だと思う。