ヒーローショーは何を語ったか?

ドラマ「トクサツガガガ」の第2話では、叶がヒーローショーを見る場面がある。悪い怪人や戦闘員に正義のヒーローのエマージェイソンとシシレオーは倒されそうになっている。
ショーの司会のお姉さんが会場に来ている子供たちに呼びかける「みんなも応援して!」。子供たちが「頑張れー」と声援をおくる。エマージェイソンとシシレオーは、残された力を振り絞って立ち上がった。
…こういう場面は、このようなショーではよくある定番のシチュエーションだと思う。…そうだとは思うが、でも自分はなぜか、それをたんなる、お決まりの子供相手のイベントショーのようには思えなかった。たしかに最初の頃は、そのシチュエーションに特別なものは感じなかった。ふつうによくある「お決まり」のものだと思っていた。だがDVDで何回も観ているうちに、それは違うと感じるようになった。
「子供たちの声援が、僕たちの新たなパワーになるのだ」…エマージェイソンとシシレオーの言葉は、たんにおざなりの台詞ではない。ヒーローたちは、本当に子供たちの声援によって力を与えられたのだ。
ヒーローは、ひとりでヒーローにはなれない。ヒーローも、みんなに支えられている。助けられる者は同時に相手を助けている。ーー幼い叶が特撮番組から学んだ真理はそれだった。
母親から特撮を拒まれ、特撮から離れていた十代の日々。エマージェイソンとの再会。特撮仲間をつくり人間関係を広めていく叶。叶が真っ直ぐに歩むすがた、自分が好きなものを大切にして自分自身を育ませていくすがたは、叶ひとりだけのことには思えない。それはだれしもが、かたちはちがっても必ず経験する生きることでの困難と、そして希望に見える。叶は特撮が好き!ただ特撮が好き。そのすがたに、みな力づけられ励まされた。
叶、がんばれ!