叶は欲して与えた

ドラマ「トクサツガガガ」の叶は、つねに欲し、そして与えた。欲することが与えることになる。
自分の誤解を解こうと必死になったことが、かたくなな相手の心を開いた。
職場の同僚たちのカラオケで、普通の曲を知らないため窮地を逃れるために歌った特撮ソングが、みんなを盛り上げた。
みんなが残業しなければならなくなって、叶は自分が早く帰宅したいために、残業に反対する。叶の、私生活と仕事との正しい関係を説明する発言に、みな心うたれる。しかし叶の発言で気持ちの整理がついた同僚は、それでやる気を起こして仕事に取り組む。けっかょく残業は続いた。ただし今度はみな納得して仕事をした。そして結果、早く残業は終わり、叶も思ったより早く帰宅できた。
叶が幼い頃に夢中になった特撮番組の「救急機エマージェイソン」。ヒーローであるロボットのエマージェイソンは、自分を犠牲にすることで、みんなを助けようとする。しかしエマージェイソンを愛する数人の子供たちは反対する。子供たちは、エマージェイソンを犠牲にすることを欲しなかった。そこには、一方的な救いや犠牲や英雄的な行為はなかった。そこにあるのは、「関わり」であり、それは相互のものだった。ーそれは幼い叶の心にしっかり根付かされた。
自己の欲する気持ちを大事にしようとすると、人を大切にする必然に向き合わざるを得ない。叶は行動で見せてくれる。だから叶はみなの希望だ。