トクサツガガガは感性の極地

初めてテレビでトクサツガガガを観たあと、自分は内容を殆ど忘れていた。去年2021年の7月下旬頃だったろう、それはたぶん何回目かの再放送だったのだと思う。でも自分としては初めて観たドラマだった。
2回、深夜の二晩続けて放送されたが、見終わって何も覚えていない。かろうじて特撮を好きなOLの話であったことは解った。しかしそれ以外は全く覚えていない。全部忘れたと言っても過言ではないと思う。ストーリーも台詞も、いっさい覚えていない。ひとつの場面、1シーンもアタマに浮かばない。
こんな経験はない。少なくともドラマや映画などを観てのことでは、まったく初めての経験、体験だった。
もちろん番組を全部観たのだから、つまらなかったわけではない。つまらなくて、そんなに観はしない。テレビを消すなりチャンネルを替えるなり、観るのをやめるはずだ。かといって、面白かったという感覚もなかった。
これといった感想も印象も残らず、そもそも内容を全くといっていいほど忘れていて、しかも面白かったか詰まらなかったかさえの意識もない。ただ、「なんか知らないけど観てしまったな」と。
しかし作品のことが気になって仕方なくなった。「なんだか解らないけど、でも全部観たってことは、きっと面白かったんだろうな」とは思った。「そうでなければ観るわけないものな」とも思った。そして、なんかしらんが、面白かったのだろうという気持ちだけで「そんなに面白いものなら、また観てみたい」と思った。そうしなければ落ち着かない。納得がいかない。それでDVDを入手した。改めて観て、やっぱり面白かった。70回以上観た。…これまでも面白いとか感動したとか、そういうドラマや映画などを観た経験は何度もある。けれども、こういう触れ方をした経験はそれまでにはなかった。不思議な体験だ。