仲間と友達

トクサツガガガは仲間と友達の物語だ。特撮を中心にオタク文化を分かり易く見せてくれるドラマだが、その最大の見所は仲間づくりと友達づくりのプロセスだと思う。
隠れオタクにとって仲間を作ることは、とても難しいのだろうと思った。出逢いそのものが難しい。しかし出逢いがうまくいけば、わりあい仲間になることは出来るようだ。特撮なりアイドルなりの共通の好みや趣味があるのだから、それも解る気もする。
でも仲間はもちろん大切だが、趣味が同じ嗜好が近い…そこで語り合い活動したり遊んだり行動を伴になしていくのは楽しいに決まっていると思う。それはいいが、では趣味以外の施行や私生活など他のことでは全く関わらないのか?…そういうわけではないにしても、今度は逆にオタクの人は、オタク以外での関わり方が苦手であったりする場合も多いらしい。オタクのことと、オタク以外のことはオタクでない人と通り一遍の表面的な付き合いばかりをしてきたことが多かったために、「オタク仲間」が出来たことは嬉しいが、そこから先の「友だち」という関係になることが難しい。「オタクの仲間」であることの実感は持つことができるようになった。「でも自分と相手とは友達と言ってよいのだろうか?」…そこにいまひとつ自信が持てない。
「」自分は相手のことを友達だと思っているが、相手は自分のことを友達と思っているだろうか?」。そういう揺らぎのような感覚を抱えながら、微妙な気持ちの誤差や戸惑いを感じながらも、誤解やスレ違いを経験しながらも互いに「友だち」の確信を得ることができるようになっていく。
そんなふうにデリケートな心で人間関係を築いていき、さらにその人間関係の輪を広げていく物語ーこれほど人と人との関わりを丁寧に温かく優しいまなざしで描かれたドラマは今までに観たことがない。