欲望と破滅
欲望はたいてい破滅につながる。本質的に欲望は破滅を求める。
欲望が破滅に向かう頂点のものが、集団的で組織的な暴力行為である戦争だと言える。
戦争は破滅志向の最も強いかたちであり、それは自他を問わず破滅に向かう。一見、相手を破壊する目的に見えるが、それは自己の破壊と破滅も求めるようになる。最初の目的であった相手を破壊しようとする行為を続けるうちに、それはいつのまにか自己に対しての自滅の行為に向かうようになる。
戦争には、そういう性質がある。
戦争はひとつの生き物であり、継続するうちに、戦争を始めた者の意志も目的も離れて、それじたいが意思をもつエネルギーに転化する。
とくに膠着状態に陥った戦争は、自己も相手も破壊しつくすまでは、戦争をやめようとはしない。
戦争をするものは、それがどんな主義主張をもとうが名目を掲げようが、それはすべての破壊者であり、すべての破滅を求めるものである。