自民党は護憲政党

自民党は護憲政党だと思う。
自民党は発足から改憲をめざしているはずだが、しかし当初の改憲は、まだ自衛隊自衛権、広く防衛力というものが賛否が激しく対立していた時代のものだ。そういうなかで、防衛力の必要性と押し付け憲法に対する反発から、自民党改憲を主張した。
その後の自衛隊にたいする認知や冷戦の終結など、国民の自衛隊自衛権・防衛力などにたいする認識も変化した。依然として憲法原理の非戦思想と非武装中立を政策理念として主張する人々もいるし、それはそれで貴重な信念であるが、かなり多くの人々は自衛隊を容認もしくは事実上は許容している。既成事実の積み重ねと国際状況の不安などを考えると、自衛隊の必要性を認めるほうが自然な感情であろう。ーーそういう現実のなかにあって、自民党としては、じっさいには今さら改憲の必要を感じなくなってきているのではないかと思う。
今回の参院選で、政党や政治家の改憲勢力はあらためて確保された。国民の多くも、改憲に賛成か、すくなくとも積極的な改憲に対する反対意見は減ったと思われる。改憲の物理的な条件は出来たというべきだろう。
護憲勢力には、二つの主流がある。
ひとつは積極的な護憲で、これは戦争を絶対的な「悪」として、非戦を思想の軸に置いて、具体的に非暴力の理念のもとに非武装中立の政策・外交に徹するというものだ。もうひとつは、本来は改憲の考えなのだが、さりとて本当に改憲してしまうことは、軍の暴走や軍事大国化に対して、それを漠然と不安に感じるという、いわば消極的な、というか、結果的には「改憲を恐れる」ということから「護憲」ということになってしまう、という矛盾の結果から生じる結論となる、そういう人々、その勢力だ。そしてその代表的な存在が、自民党だと思う。