烏露(ウロ)戦争

烏露(ウロ)戦争という言い方は、自分が勝手に付けたものだ。ほかの人や団体や機関などが、そういった呼び方をしているとは思わないし、また今後そのような言い方をするかどうかも判らないが、とにかく烏克蘭(ウクライ)と露西亜(ロシア)の戦争ということで、便宜上このような言い方をさせてもらう。ちなみに戦争といっても、国際法上の戦争かどうかは、ここでは問わない。紛争のほうが相応しい表現かもしれないが、国家間のかなり大規模な軍事衝突であることはたしかだろうから、一般的の感覚で「戦争」という単行本を使わせてもらう。
自分はロシアのことを殆ど知らないし、ウクライナのことは更に知らない。ただ最近のニュースなどで、ウクライナとロシアが戦っていたことだけは知っている。
僕はロシアがウクライナを攻めるとは思っていなかった。こんなことをしてロシアになにが良いことがあるか判らなかったからだ。ただ安全保障上と経済的なことなどで、アメリカやEUなど西欧諸国を牽制するために、つまり「駆け引き」的に、ウクライナ国境に兵力を集めているだけかと思っていた。
クリミアの強引な併合は、以前から国際社会の批判を受けていたが、それでもクリミアを領有化したのは、ロシアにとって余程この地域が欲しかったのだろうとは思ったが。ただ、当事国のウクライナはもとより、多数の諸外国との関係を相当に悪くさせてまでも、ロシアにとって黒海の覇権を重視したロシアという国に対して、この国は殆ど体質が変わっていないのだなと思った。
クリミアのみでなく、ウクライナ全体を支配下に置こうとするのであれば、なぜそれほどまでにウクライナ支配にこだわるのか、これも僕には判らないが。かつてヒトラーは、ウクライナの鉄と石炭それに穀倉地帯に野心をいだきソ連と戦争し、結果ヒトラーも破滅した。現代のロシアにとってウクライナにそれほど野心を持つとすればその理由は解らない。
ただプーチン大統領は、ウクライナEUNATOに加盟をすることに対しては、相当に不安と反撥を抱いているとは思う。だとすると今回の戦争は、ウクライナEU及びNATOへの加盟を阻止するために行われたのだろうか。
戦争は世界の情勢に、主として大きな二つの現象をもたらした。ひとつは、各国の国境を越えての、市民レベルでのロシアに対する反撥と反戦の意思表明である。もうひとつは、国家や民族および宗教などにおける、アメリカに対する反感や対抗意識といったナショナリズム的なものであろう。ロシアが国際社会の反撥を省みずに戦争に踏み切った最大の理由は、反米勢力がアメリカの牽制になるであろうことを期待してであったことは充分に想像ができるだろう。
中東にとっては、この戦争は、どのようにうつるのだろう?自分にはその知識も情報もないが、たとえばパレスチナイスラエルにとって、それは自分などには解らないエネルギー問題や、シリアなどの内戦にどう影響があるのだろうか。崩壊後の旧ソ連イスラエルの関係がどのくらいの影響を持っているのかは解らない。ただ米国のトランプ政権が終わった現在、イスラエルアメリカ以外の後ろ楯がほしいであろうが、イスラエル国内のロシア系国民はどのような勢力を持っているのか。そのあたりのことは自分には全く解らない。
ロシア国民の中からも、ロシアのウクライナ侵攻に反対する人々が数多くいることが、大きな希望だと思う。現在のロシアはかなり抑圧的な国だと思うが、しかしそれでもかろうじて自国の体制に対する抗議をおこなうことができる。デモに参加した人々が逮捕されたりもしているが、しかし旧ソ連であればまったく考えられないことだった。プーチン政権はともかく、ここにロシア国民の希望がある。