レイ再び(1)

雷雨はおさまりかけていた。予報通りなのだが、予報をこえてすこし前には雹(ひょう)が降ったと聞く。雷雨のあとに雹が降ることはあるのだろうか?マイは、くすんだ南の空をぼんやり見上げて思った。
「どのコーヒーがいいかな」セイは、ドリップコーヒーのパックを指でたどりながら言った。数種類のコーヒーが袋に入っている。「これにしよう」セイはザンビアを取り出して言った。「あまり酸味が強くないほうがいいから」セイは言いながらザンビアの紙パックの中にポットから湯を注いだ。軽く苦みばしった香りが室内に広がった。
空の隙間から人型がつくられ、それがひとりの青年となってあらわれた。水色の髪にトパーズのような濃い飴色の瞳をもつ青年だった。